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企画展示室
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さよなら企画様公式イベント便乗の小話。
性転換ネタ・NPCでしゃばり注意。
さだきさん宅幸治さん、お名前だけ都筑琉花さん宅春斗さんをお借りしております。
本文は追記から。




「結…納…?」

思わず聞き返してしまった。あまりにも急ではないのか。

「あぁそうだ。お前がどれだけ相手を待たせていると思っているんだ?」
「ですが私、心の準備が」
「黙れ」

強い口調で言われ、思わず身体がすくむ。

「自分の身体の事を考えてみろ。お前に何かあってからでは遅いんだ。
お前が生きているうちに、お前には女としての幸せを掴んでもらいたいのだよ。その相手が二十八グループの一人息子で何か文句があるとでも?」

恐らく父の本音は後者であろう。
私を二十八グループの嫁に行かせ、不忍家と二十八グループに強い繋がりを持たせることこそが父の望み。

「しかし…望まぬ相手との結婚なんて…」
「巌くんは近年稀に見る好青年じゃないか、何よりお前の事を好いている。何が不満だ?」

…思えば、確かに何故こんなに受け入れられないのだろう。
唐突ではあるが、彼は文句の付けようの無い好青年だというのに。

「とにかく、先方をこれ以上待たせることなど出来ぬからな、結納は明後日、式も近く行うことが決まったからな、これ以上ごねるでないぞ」

そういって父は私の返事を待たず、部屋を後にする。

=====

一つ、溜め息をつく。
父は家の中で最も権力が強い。娘である私には拒否権も発言権も無い。
このまま"僕"の望まぬ、良く知らない男性と言われるがまま結婚するしかないのだろうか。

…どうしてこんなにも嫌なのだろう?
巌さんはとても優しい、穏やかな人だ。彼の事は嫌いではない。
ならば、親が強引に結婚の話を推し進めているから?
いきなり「女性」となって突然許婚の存在を突きつけられたから?

どちらにせよ、このままでは私は父のいうがまま嫁に行くこととなる。
その前に「男性」に戻ることが出来ればいいのだが、結納が明後日となればそんな猶予も無いだろう。

「…春斗さん…」

膝を抱え、うずくまる。
思い浮かぶのは、あの人の事。入院中に知り合い、仲良くなった、大切な友人。
度々会いに来てくれて、元気をくれた人。

「…会いたい、です…」

ふと、あることを思い出し机の引き出しを漁る。
確か以前貰って、ここに入れていたはず…

「あった、これだ…」

メモにはとある人物への連絡先が書かれていた。
以前、コアを破壊されそうになった時に(自分は覚悟を決めていたのだが)助けてくれた人だ。
その時に「何かあったら」と、その人物―幸治さんの仕事の事務所への地図と電話番号を貰ったのだ。
(彼がどんな仕事をしているのか詳しいことは分からないのだが)このメモを渡されたときに取り返して欲しいもの云々と言われた覚えがある。
正直何かを履き違えている気しかしない。けれど、今の私に縋れるものなどあまりない。
色々あって考える余裕もないほど切羽詰っていたのもあるのだろう、そう思った私はメモに書かれた電話番号に電話をかけた。

(…繋がって、下さい…!)

ガチャッ
『もしもし?』

繋がった。
受話器の向こうから聞こえてきたのは確かに女性の声。

「あ あのっ 幸治さん…ですよね…?わた…僕です、空蝉です!以前、助けて頂いた…」
『あー、あの時の…確かに何かあったら連絡しろとは言ったが…こんな遅くにわざわざかけてくるってこたぁよほどの急用なんだろうが、用件は何だ?』
「えっと その …た、助けて下さいっ」
『は?』

「僕、結婚したくないんです!」



=====
考えたのはここまで。
この後は元の性別に戻るまでクガイタウン中を逃げ回り親との追いかけっこを繰り広げたり知り合いを頼って匿ってもらったり最終的に疲労で倒れて病院に担ぎ込まれたりする、という所まで妄想しました。
が、ちょっと小話に纏める気力と文章力が無いのであしからず。

ちなみにこの段階では恋愛感情はまだ自覚していないっぽいです。
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