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企画展示室
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ヘカテ視点の文。
最大限ぼかしてはいますが♂×♂要素、微量の性的表現を匂わせる部分が含まれています。
また、名の無いモブキャラが出張っています。
苦手な方はご注意下さい。

それでもよろしければ追記よりどうぞ。


=====

一人で過ごす夜は時に酷く寂しく、虚しい。
心にぽっかりと空洞が出来たような、枯渇感に襲われる。
寂しさから逃れるために、俺はまた一夜限りの享楽の宴に身を委ねる。
様々な者がいるこの楽園だ、そうした性癖の持ち主も少なからずいる。

組み敷かれ、快楽を与えられ、言われるがままに動き。
一晩限りの情の通わない行為とはいえ、与えられる温もりに安心し、寂しさを埋める事が出来た。


けれど最近では、どんなに身体を委ねても、飢えが収まらない。その感覚は、日増しに強くなっていく一方で。
意識を手放す間際にぼんやりと浮かぶ『あの人』の笑顔。
事が済んだ後、自分の中に残る虚しさと罪悪感。

何でこんなにも、もやもやするのだろう。

そうした思いを抱えて、今日のバイトと夕食を済ませた後、いつもの裏通りへと向かう。
万が一に備え、護身用に杖を持ち。

=====

暫くうろうろしていると、一人の男が声をかけてきた。巧みな言葉と、差し出した金。俺を『買いたい』という意志表示。
幾らか目線は上となる身長、年の頃は20代半ばから後半くらいであろうか。悪くない。

商談成立するや否や、肩に手を回される。
いくら人気の無い夜の路地裏といえども、外では抵抗がある。
ねぇ。場所を移して貰えないかな。
ねだるように頼むと、近くに自宅があるからと快く了承してくれた。
その前に、と抱き寄せられ唇を重ねられる。
いきなりなので驚いたが、俺も応えるように腕を回し絡ませあう。


一人用のベッドが二人分の体重で軋む。
声を聞かせて欲しいとの要望があった為、部屋には悲鳴にも似た声が響く。
熱と快楽を確かに感じている身体とは裏腹に、思考はどこか別の場所にあった。

『あの人』は、どんな表情を見せるのだろう?
『あの人』は、どんな声を聞かせてくれるのだろう?
『あの人』からは、どんな温もりが伝わるのだろう?
『あの人』は、…


『―――――――――っ!!』

瞬間、頭の中が真っ白になりそのまま意識を手放した。

=====

シャワーを借り、身体を清め出てくると、最後に全く知らないヤツの名前を叫んでいたぞ、と指摘される。
最初はなんの事か分からなかったが、ふと思い出し複雑な気分になる。
更に、最中というのに心ここにあらずといった感じだった、とも言われた。
何故、なのだろう。
いや、自分でも薄々自覚はしている。けれど…


このモヤは、まだ晴れない。
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